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ウワミズザクラ

Padus grayana

 北海道、本州、四国、九州の日当たりの良い斜面や沢近くに生育し、樹高は20m近くにまでなります。樹皮は暗い紫褐色で横に伸びる皮目があり、老木になるとひび割れが縦に入ります。葉は葉身が8〜11cmの楕円形で先が細く尖り、鋸歯があります。蜜腺は葉身の基部にありますが判別しにくく、イボ状の蜜腺が葉柄の上側に2つある近種のエゾノウワミズザクラとの大きな違いです。葉が展開し終えた4〜5月、コップ洗いのブラシのように多数の白い花を咲かせます。花弁よりも長い雄しべがよく目立ちますが、エゾノウワミズザクラは雄しべが短いという違いがあります。また花序の下に葉が数枚つきますが、同属のイヌザクラには葉がつきません。若い頃の果実は枝についていますが、少しずつ落ちて、黒く熟す8〜9月ごろまで残るのはわずかです。同種の特徴は、年を経て生長する枝と、一斉に春に伸びて落葉と共に脱落する枝の2種類があることです。そのため夏の葉ぶりから想像できないほど冬の姿は寒々しいものです。[1][2][3]

多様な呼び方

 様々な別名、方言で呼ばれており、古くから身近にあって利用されてきた樹木だったことが想像できます。ハハカ(波波迦)は古事記にある天の岩戸で隠れてしまった天照大神の関心をひこうと皆で騒ぐ場面「天のカグ山のハハカの木を取つてその鹿の肩骨を燒いて占わしめ」に出てくるハハカはウワミズザクラだと考えられています。またハハカがコンゴウに転訛してコンゴウザクラ。蕾や未熟果を塩漬けにした杏仁豆腐の香り(ベンズアルデヒド)がする、つまみやご飯のお供の「杏仁子」のアンニンゴ。樹皮を剥ぐとクマリンの匂いが強いことからクソザクラ、などの別名があります。ちなみにウワミズザクラの名は、鹿の肩甲骨の裏または亀の甲に溝を掘ってそこを当種の棒で焼き、できた割れ目で占った「占(裏)溝桜」からきていると言われています。[4]

Gallery

Padus grayana

樹形
宮城県白石市
Taken on May 2, 2021

 北海道、本州、四国、九州の日当たりの良い斜面や沢近くに生育し、樹高は20m近くにまでなります。

筑波実験植物園
Taken on May 20, 2011

 葉は葉身が8〜11cmの楕円形で先が細く尖り、鋸歯があります。

葉の展開
筑波実験植物園
Taken on Apr. 3, 2011


葉の裏

宮城県外山
Taken on May 4, 2021

 葉が展開し終えた4〜5月、コップ洗いのブラシのように多数の白い花を咲かせます。

花序


花柄

果実
山形県山形市
Taken on July 23, 2021

 若い頃の果実は枝についていますが、少しずつ落ちて、黒く熟す8〜9月ごろまで残るのはわずかです。

果実
山形市野草園
Taken on Sep. 5, 2021

樹皮
宮城県外山
Taken on May 4, 2021

 樹皮は暗い紫褐色で横に伸びる皮目があり、老木になるとひび割れが縦に入ります。

Property

Padus grayana

分 類
和名: ウワミズザクラ(上溝桜)
別名: ハハカ(波波迦)、コンゴウザクラ(金剛桜)
学名: Padus grayana
(Syn. Prunus padus var. japonica)
目: バラ目(Rosales)
科: バラ科(Rosaceae)
属: ウワミズザクラ属(Padus)
分布: 日本、中国
国内分布: 北海道、本州、四国、九州
用途: 器具材、食用(果実)
特 徴
針葉/広葉: 広葉樹
常緑/落葉: 落葉樹
樹高: 高木
葉形: 単葉(不分裂)
葉序: 互生
葉縁: 鋸歯
雌雄: 雌雄同株(両性花)

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