バラ目 chevron_right バラ科 chevron_right サクラ属 chevron_right オオヤマザクラ
オオヤマザクラ
Cerasus sargentii var. sargentii

 北海道から九州に自生しており、冷温帯を中心にして分布しています。北海道では平地に珍しくありませんが、九州ではスキー場がある宮崎県五ヶ瀬町の標高の高い地域に見られます。なお、この九州の個体は鋸歯の特徴が一部異なることからキリタチヤマザクラ(Cerasus sargentii var. akimotoi)と呼ばれています。樹高は10〜25m。葉は楕円形や倒卵状で先が尖っていてヤマザクラのそれにも似ていますが、当種の方が葉身長が長く、また鋸歯が重鋸歯で目立ちます。自生地もヤマザクラに比べて標高の高いところにみられます、[1][2]

 オオヤマザクラは葉の展開と時を同じくして4〜5月に花を咲かせます。花弁もヤマザクラに比べて大きく、また濃いピンク色をしています。ヤマザクラに比較して葉や花が大きいことからオオヤマザクラ、花が色濃いのでベニヤマザクラとも呼ばれます。エゾヤマザクラは北海道でよく見られるサクラであることから。面白いのは、北海道の方々はオオヤマザクラでなくエゾヤマザクラとこの樹をよぶのが一般的です。道央ではゴールデンウィーク中に満開を迎えることが多いので、当種を遅咲きの桜のように思われるかもしれません。ところが、北海道にも植栽されている近隣のソメイヨシノと比較すると、エゾヤマザクラの方が数日先に咲き始めて見頃を迎えます。実は早咲きのようです。

樺細工

 茶筒や小皿に桜の樹皮を巻いた樺細工。磨かれた樹皮は美しく落ち着いた紫色の光沢をもつ優れた工芸品です。中でも秋田県仙北市の角館の樺細工が有名です。この地域に多く自生しているカスミザクラやオオヤマザクラの樹皮が用いられています。「樺」と書きますが、シラカバのような樺の木を使用しているわけではありません。古くはサクラ類のことを樺と呼んでいたそうですが、アイヌではサクラの木の皮を「カリンパ」と呼んでいて、これと関連があるとも言われています。材は赤味を帯び、均質で緻密。寸法安定性が高くて加工しやすいため、器具材や工芸品、彫刻などに使われています。[3][4]

参考文献
  1. 茂木透ら(2000)『樹に咲く花―離弁花(1)(第3版)』山と溪谷社
  2. 林将之(2014)『樹木の葉』山と溪谷社
  3. 近田文弘(2016)『桜の樹木学』技術評論社
  4. 伊東隆夫ら(2011)『日本有用樹木誌』海青社

Gallery

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樹形

日光植物園(Apr. 30, 2011)

樹高は10〜25m。

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樹形

北大植物園(Apr. 29, 2018)

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樹形

北大植物園(May 27, 2018)

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紅葉

旭川市内(Oct. 28, 2012)

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日光植物園(Apr. 30, 2011)

葉の展開と時を同じくして4〜5月に花を咲かせます。

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日光植物園(Apr. 30, 2011)

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果実

旭川市内(June 18, 2012)

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果実

北邦野草園(June 30, 2012)

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日光植物園(July 15, 2011)

ヤマザクラに比して葉身長が長く、また鋸歯が重鋸歯で目立ちます。

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樹皮

旭川市内(May 8, 2012)

樹皮は樺細工に用いられます。

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断面

東大北海道演習林(June 6, 2012)

材は赤味を帯び、均質で緻密、寸法安定性が高くて加工しやすいです。

Property
分 類
和名 オオヤマザクラ(大山桜)
別名 エゾヤマザクラ(蝦夷山桜)、ベニヤマザクラ(紅山桜)
学名 Cerasus sargentii var. sargentii
(Syn. Prunus pseudocerasus var. borealis)
(Syn. Prunus sargentii)
バラ目(Rosales)
バラ科(Rosaceae)
サクラ属(Cerasus)
分布 日本、朝鮮半島、中国、南千島、サハリン
国内 北海道、本州、四国、九州
用途 建築材、器具材、家具材
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(両性花)
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