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ヤマツツジ
Rhododendron kaempferi var. kaempferi

 本州から九州までの丘陵や山地に、林内から林縁や草原など、日本海側から太平洋側までの広い範囲に自生している日本固有種です。樹高は高いもので3mほど。樹皮は平滑で赤褐色から黒褐色、生長すると成木は縦に裂け目が入ります。葉身長が1〜5cmほどの葉が枝先に5枚前後、ぱっと見が輪生のように付いています。葉の両面ともに褐色の伏毛があり、特に葉裏の脈上には密生しています。4〜6月に朱色の花を枝先に2〜3個咲かせます。合弁花で花弁は5つに裂け、雄しべが5本、その中心に雌しべが1本あって子房には白く長い毛が密生しています。8〜10月に熟す果実は朔果で、裂開して種子を放出します。[1][2][3][4]

蜜標

 葉には、春に展開して秋に落葉する春葉、そして夏から秋に展開して一部が越冬する夏葉の2種類があります。春葉は先が尖り生長して葉身が3〜5cmほどになりますが、夏葉は先が丸く葉身が1〜2cmほどと小さいままです。落葉する葉とそうでない葉があることからこれを半落葉性とも呼びます。花弁上側の裂片には色の濃い斑点模様があります。これは蜜標(みつひょう)と呼びます。昆虫に蜜の場所を示すもので、蜜を吸いに来た昆虫を蜜標よりも下側にある雄しべの芍に接触させ、花粉を運ばせる役割があります。

 ヤマツツジには変種があります。葉や花が小さいサイカイツツジ(Rhododendron kaempferi var. saikaiense)は五島列島や鹿児島県の甑島、紅紫色の花をつけて葉が小型のミカワツツジ(Rhododendron kaempferi var. mikawanum)は愛知県に自生。丸みを帯びた厚手の葉を持つオオシマツツジ(Rhododendron kaempferi var. macrogemma)は伊豆半島南部と伊豆諸島に、薄紅紫色の花筒が長い小さな花を咲かせるヒメヤマツツジ(Rhododendron kaempferi var. tubiflorum)は広島県と山口県の瀬戸内海側に自生しています。[5]

参考文献
  1. 茂木透ら(2008)『樹に咲く花―合弁花・単子葉・裸子植物(第3版)』山と溪谷社
  2. 林将之(2014)『樹木の葉』山と溪谷社
  3. 渡辺洋一ら(2018)『ツツジ・シャクナゲ ハントブック』文一総合出版
  4. 加藤雅啓ら(2011)『日本の固有植物』東海大学出版会
  5. Loretta Goetsch et al.(2005)"The Molecular Systematics of Rhododendron (Ericaceae): A Phylogeny Based Upon RPB2 Gene Sequences", Systematic Botany, 30(3), pp.616-626
  6. 渡辺洋一(2023)『ツツジ属を対象とした日本列島の種多様性創出過程の解明』「森林遺伝育種」12、pp.40-45

Gallery

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樹形

宮城県三方塚(May 18, 2024)

樹高は高いもので3mほどです。

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葉(春葉)

宮城県三方塚(May 18, 2024)

葉身長が1〜5cmほどの葉が枝先に5枚前後、ぱっと見が輪生のように付いています。

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春葉と夏葉

岩沼市(Oct. 22, 2023)

大きい葉が春葉、右側の小さい葉が夏葉

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宮城県深山(Apr. 18, 2021)

4〜6月に朱色の花を枝先に2〜3個咲かせます。

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狂い咲き

宮城県五社山(Oct. 10, 2021)

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未熟果

山形市野草園(July 23, 2021)

8〜10月に熟す果実は朔果で、裂開して種子を放出します。

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朔果

山形市野草園(July 23, 2021)

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樹皮

岩沼市(Dec. 22, 2023)

樹皮は平滑で赤褐色から黒褐色、生長すると成木は縦に裂け目が入ります。

Property
分 類
和名 ヤマツツジ(山躑躅)
学名 Rhododendron kaempferi var. kaempferi
(Syn. Rhododendron kaempferi f. latisepalum)
(Syn. Rhododendron scabrum var. kaempferi)
(Syn. Rhododendron obtusum var. kaempferi)
(Syn. Rhododendron obtusum var. kaempferi f. purpuriflorum)
(Syn. Rhododendron obtusum var. kaempferi)
(Syn. Rhododendron kaempferi var. lucidusculum)
ツツジ目(Ericales)
ツツジ科(Ericaceae)
ツツジ属(Rhododendron)
分布 日本
国内 北海道、本州、四国、九州
用途
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 低木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 全縁
雌雄 雌雄同株(両性花)
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