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イソツツジ

Rhododendron hypoleucum

 日本固有種で北海道から東北地方の原野、亜高山から高山に自生しています。樹高は高いもので1mぐらいまでになり、樹皮は黒褐色です。葉は長さは2〜5cm、幅が5〜12mmの披針形で縁が裏側に巻き込んでいます。葉の裏は白い毛が密生しています。葉の裏が茶褐色の毛で覆われているものをカラフトイソツツジ(Rhododendron diversipilosum)とする見方もありますが、中間体も多く、ここでは同じ種として取り扱います。茶褐色の毛は葉柄から若い枝にまで覆っています。6〜7月に枝の先端に球形の散房花序となって1cmの多数の白い花を咲かせます。9〜10月に熟す果実は垂れ下がります。[1][2][3][4][5]

イソツツジ属からツツジ属へ

 イソツツジ属(Ledum)として分類されていましたが、分子系統学でツツジ属に含められるようで、ここではツツジ属としています。200種のツツジ属と参照用の外群2種を分子系統解析をした研究があります。それによればイソツツジと変種のヒメイソツツジは、3000万年近く前に他のゲンカイツツジ亜属(Subgen. Rhodorastrum)から分化したと考えられています。ツツジ属は北から南へと南下しながら分布域を拡大していて、ゲンカイツツジ亜属の自生地の多くは東南アジアを中心としていますが、同種は北に留まった種と考えられます。イソツツジは高山植物ですが、北海道では低地にも自生しています。道東弟子屈町の硫黄山付近にある群落は有名です。「イソ」が付きますが海岸に生えているわけでもなく、なぜそのような和名になったのかはよくわかりません。アイヌはこの葉をお茶にしたり、煎じて虫下しの薬に用いたそうです。また、サハリンにも同種と似た個体があることから日本固有種でなくなるかもしれません。[6][7][8]

Gallery

Rhododendron hypoleucum

樹形
弟子屈硫黄山
Taken on Aug. 22, 2013

 日本固有種で北海道から東北地方の原野や亜高山から高山に生えています。樹高は高いもので1mぐらいまでになります。

樹形
樽前山
Taken on June 16, 2013

群生
弟子屈硫黄山
Taken on Aug. 22, 2013

冬芽
勇払原野
Taken on Apr. 6, 2014

 6〜7月に枝の先端に球形の散房花序となって1cmの多数の白い花を咲かせます。

花芽
勇払原野
Taken on June 9, 2013

樽前山
Taken on June 16, 2013


五葉山
Taken on June 11, 2022


 葉の長さは2〜5cmの披針形で縁が裏側に巻き込んでいます。葉の裏は白く、主脈を中心に茶褐色の毛が生えています。

葉の裏

 カラフトイソツツジのタイプ

枝(先端部)

 茶褐色の毛は葉柄から若い枝にまで覆っています。

果実
勇払原野
Taken on July 7, 2013

 9〜10月に熟す果実は垂れ下がります。

Property

Rhododendron hypoleucum

分 類
和名: イソツツジ(磯躑躅)
別名: エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅)
学名: Rhododendron hypoleucum
(Syn. Ledum palustre subsp. diversipilosum)
(Syn. Ledum palustre subsp. diversipilosum var. nipponicum)
(Syn. Ledum palustre var. dilatatum)
(Syn. Ledum hypoleucum)
目: ツツジ目(Ericales)
科: ツツジ科(Ericaceae)
属: ツツジ属(Rhododendron)
分布: 日本
国内分布: 北海道、本州
用途:
特 徴
針葉/広葉: 広葉樹
常緑/落葉: 常緑樹
樹高: 低木
葉形: 単葉(不分裂)
葉序: 互生
葉縁: 全縁
雌雄: 雌雄同株(両性花)

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