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イワヒゲ
Cassiope lycopodioides

 中部地方以北の本州、北海道の高山帯の岩場に自生しています。樹高は10cm前後と低く、よく分枝した枝が岩をはって横に広がります。緑色の茎だけが広がっているように見えますが、これは十字対生した鱗状の葉が細い茎の周りにびっしりと付いているためです。7〜8月、葉腋から細長い花柄を出して白い鐘状の花冠をもった花を下向きに咲かせます。先が4〜5裂する花冠は楕円状ですが、中には球形に近い個体もあり、これをタマザキイワヒゲまたはマルバナイワヒゲ(Cassiope lycopodioides f. globularis)と呼びます。8〜9月ごろに花柱が残った球形の蒴果が上向きに実ります。[1][2][3]

耐寒性と耐風性

 高山植物に見られる特徴は耐寒性や耐風性の強さです。イワヒゲの茎を覆っている鱗状の葉の表には気孔がなく、厚いクチクラ層が覆っています。外から見えない内側にしか気孔がありません。そのため気孔から蒸散する水は外気に晒されず、強い風によって急激に水が失われるのを防いでいます。また地上部はー30〜ー40℃まで耐えられたそうです。[4][5]

ベーリング地峡

 千島列島やアリューシャン列島、その先のアラスカといった太平洋周辺に分布する太平洋要素の1つです。北アメリカ大陸のアラスカからユーラシア大陸のシベリアまで、氷期には陸地がつながっていたと考えられています。これがベーリング地峡(Beringia)です。このベーリング地峡に沿って太平洋周辺に分布しているイワヒゲは、氷期に南下して分布域を広げていったと考えられています。ここで面白いのは、カムチャッカから北海道までの集団は遺伝的に類縁であり、その次に東北地方の個体、中部地方の集団はさらに遺伝的に離れていることがわかりました。北海道の集団が最終氷期に南下したものであり、中部地方の集団はそれよりも昔の氷期に南下した名残りだったと考えることができます。[6][7]

参考文献
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Gallery

樹形
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樹形

大雪山系北海岳(July 12, 2015)

樹高は10cm前後と低く、よく分枝した枝が岩をはって横に広がります。

樹形
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樹形

大雪山系雲ノ平(July 14, 2018)

樹形
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樹形

岩手県薬師岳(Aug. 6, 2022)

花
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大雪山系黒岳(July 14, 2018)

葉腋から細長い花柄を出して白い鐘状の花冠をもった花を下向きに咲かせます。

花
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大雪山系北海岳(July 12, 2015)

花
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大雪山系黒岳(July 14, 2018)

花
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大雪山系黒岳(July 14, 2018)

果実
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果実

岩手県薬師岳(Aug. 6, 2022)

花柱が残った球形の蒴果が上向きに実ります。

果実
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果実

岩手県薬師岳(Aug. 6, 2022)

葉
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岩手県薬師岳(Aug. 6, 2022)

緑色の茎だけが広がっているように見えますが、これは十字対生した鱗状の葉が細い茎の周りにびっしりと付いているためです。

葉
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岩手県薬師岳(Aug. 6, 2022)

葉
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岩手県薬師岳(Aug. 6, 2022)

Property
分 類
和名 イワヒゲ(岩髭)
学名 Cassiope lycopodioides
(Syn. Cassiope lycopodioides var. laxa)
ツツジ目(Ericales)
ツツジ科(Ericaceae)
イワヒゲ属(Cassiope)
分布 日本、北太平洋
国内 北海道、本州
用途
特 徴
針広 広葉樹
常落 常緑樹
樹高 小低木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 対生
葉縁 全縁
雌雄 雌雄同株(両性花)
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