miyamahannoki miyamahannoki miyamahannoki

ミヤマハンノキ

Alnus viridis subsp. maximowiczii

 本州では北陸地方以北の亜高山から高山の主に荒れ地、北海道では低地にも生えています。高さは大きいもので5〜8mほどになり、樹皮は暗褐色で皮目が目立ちます。葉は長さが5〜10cmの広卵形で先端が尖がり、鋸歯があります。花は5〜7月に葉の展開と共に咲き始めます。黄色味を帯びた雄花序は芋虫のような形で垂れ下がり、その枝の先に複数個の赤い雌花序が直立しています。10〜11月に楕円形をした果穂が熟します。両側に翼のある堅果が多数入っています。[1]

先駆種

 ミヤマハンノキは先駆種です。例えば、富士山の五合目付近、北海道だと樽前山の斜面で見ることができます。いずれも火山灰で一面を覆われており、陽光を一杯に享受することができるものの、足下の火山灰は流出が激しく栄養もない場所です。当種は他の樹木に比較してこのような火山荒原にいち早く進出します。一時的に純林を形成する事もありますが、後から進出して来るダケカンバなどの高木に席を譲り、新たに攪乱された地を開拓していくわけです。低地での当種は直立することが多いのですが、積雪量が多い尾根筋の固体は横に広がりやすく幹も複数あります。雪圧や強風の影響などによるものと考えられます。[2][3][4]
 先駆種として生きて行けるのは、空気中の窒素を固定して供給してくれる窒素固定菌と共生しているためです。この窒素固定菌には根粒菌(グラム陰性)と土壌放線菌のフランキア(グラム陽性)があります。一方でフランキアによって窒素固定能力を備えた植物をアクチノリザル植物と呼びます。フランキアは4つのハンノキグループ、モクマオウグループ、グミグループ、バラグループに分類されます。ミヤマハンノキはハンノキグループのフランキアと共生しています。[5]

Gallery

Alnus viridis subsp. maximowiczii

樹形
樽前山
Taken on June 23, 2013

 本州では北陸地方以北の亜高山から高山の主に荒れ地、北海道では低地にも生えています。

樽前山
Taken on May 18, 2014

 花は5〜7月に葉の展開と共に咲き始めます。黄色味を帯びた雄花序は芋虫のような形で垂れ下がり、その枝の先に複数個の赤い雌花序が直立しています。

雌花序と雄花序
樽前山
Taken on May 18, 2014

果穂
樽前山
Taken on June 23, 2013

 10〜11月に楕円形をした果穂が熟します。両側に翼のある堅果が多数入っています。

果穂
樽前山
Taken on Aug. 3, 2013

堅果
樽前山
Taken on Oct. 6, 2013

旭岳温泉
Taken on Aug. 11, 2012

 葉は長さが5〜10cmの広卵形で先端が尖がり、鋸歯があります。


葉の裏

樹皮
樽前山
Taken on June 23, 2013

 樹皮は暗褐色で皮目が目立ちます。

火山荒原の先駆種
樽前山
Taken on June 23, 2013

 先駆種として生きて行けるのは、空気中の窒素を固定して供給してくれる窒素固定菌と共生しているためです。

残雪で開花が遅れた個体
樽前山
Taken on June 23, 2013

Property

Alnus viridis subsp. maximowiczii

分 類
和名: ミヤマハンノキ(深山榛の木)
学名: Alnus viridis subsp. maximowiczii
(Syn. Alnus vermicularis)
(Syn. Alnus maximowiczii)
(Syn. Alnus hakkodensis)
(Syn. Alnus crispa subsp. maximowiczii)
(Syn. Duschekia maximowiczii)
目: ブナ目(Fagales)
科: カバノキ科(Betulaceae)
属: ハンノキ属(Alnus)
分布: 日本、千島、サハリン、カムチャッカ、ウスリー、朝鮮半島
国内分布: 北海道、本州
用途:  
特 徴
針葉/広葉: 広葉樹
常緑/落葉: 落葉樹
樹高: 低木/高木
葉形: 単葉(不分裂)
葉序: 互生
葉縁: 鋸歯
雌雄: 雌雄同株(単性花)

Googleでミヤマハンノキを検索

ミヤマハンノキの文献を検索

他の樹木を閲覧