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ケヤマハンノキ

Alnus hirsuta var. hirsuta

 山地の河畔林沿い、北海道など冷涼な地域では平地の河畔林沿いにも誠意育しています。樹高は10〜20mほどになり、主幹が明瞭で直立します。樹皮は灰褐色でその表面はツルツルしていて皮目が目立ちますが、老木になると所々にひびが入ります。葉が展開する前の3〜4月ごろ枝先に花を咲かせます。果実は堅果で10月ごろに熟します。葉は長さ8〜15cmの広卵形で縁に重鋸歯があります。葉裏の葉脈に毛が多いものを狭義のケヤマハンノキ(Alnus hirsuta var. hirsuta)、ほとんど毛がないものを狭義のヤマハンノキ(Alnus hirsuta var. sibirica)とするものの中間的な個体も多いのですが、ここでは狭義のケヤマハンノキを対象とします。[1][2]

先駆種

 同属のハンノキは地下水位が高く常時または一時的に滞水する湿地林に優先しますが、ケヤマハンノキはそれよりも乾燥した地下水位が1m以内の河畔林によく見られます。ケヤマハンノキは先駆種です。林床下では生存できず、河川の氾濫や斜面の崩壊など裸地化した土地に一斉林を形成します。種子は秋に風散布されて年明けの春に発芽。その初期成長は早く1年に60cm以上も上へと伸び、地下水にも強いことと相まって他の種を圧倒します。材の加工性は悪くもないため器具材などに用いられることがあります。また根粒菌を有して痩せ地でも生長が早いので砂防用に植えられたりしています。[3][4]

血の木

 ハンノキの仲間を伐採するとその切り口はあっという間にオレンジ色に変色します。空気に触れることで酸化しているものだと思われますが、この色からアイヌはケヤマハンノキを「ケネ(血の木)」と呼んでいました。大量の出血があった際は造血を目的にこの樹皮を煎じて飲んだり、また血になると考えて赤子の成長を促すためにおしゃぶりとして与えたりしたそうです。また赤色の染料としても用いていました。[5]

Gallery

Alnus viridis subsp. maximowiczii

樹形
苫小牧市勇払川沿い
Taken on May 25, 2019

 樹高は10〜20mほどになり、主幹が明瞭で直立します。

開花時の樹形
苫小牧市勇払川沿い
Taken on Mar. 28, 2020

葉展開時の樹形
苫小牧市勇払川沿い
Taken on May 12, 2019

苫小牧市勇払川沿い
Taken on Mar. 28, 2020

 葉が展開する前の3〜4月ごろ枝先に花を咲かせます。

雄花序と雌花序
Taken on Apr. 14, 2019

堅果
苫小牧市勇払川沿い
Taken on Mar. 28, 2020

 果実は堅果で10月ごろに熟します。

Taken on Jun. 7, 2020

 葉は長さ8〜15cmの広卵形で縁に重鋸歯があります。

葉の裏
Taken on Jun. 7, 2020

葉裏の主脈にある毛
Taken on Jun. 7, 2020

側芽
旭川市牛朱別川沿い
Taken on Apr. 22, 2012

葉の展開
旭川市牛朱別川沿い
Taken on May 1, 2012

樹皮
苫小牧市勇払川沿い
Taken on Mar. 28, 2020

 樹皮は灰褐色でその表面はツルツルしていて皮目が目立ちますが、老木になると所々にひびが入ります。

樹皮
苫小牧市勇払川沿い
Taken on Mar. 28, 2020

断面
東大北海道演習林
Taken on Jun. 6, 2012

倒木
苫小牧市勇払川沿い
Taken on Apr. 21, 2019

Property

Alnus viridis subsp. maximowiczii

分 類
和名: ケヤマハンノキ(毛山榛の木)
学名: Alnus hirsuta var. hirsuta
(Syn. Alnus sibirica var. hirsuta)
(Syn. Alnus incana subsp. hirsuta)
目: ブナ目(Fagales)
科: カバノキ科(Betulaceae)
属: ハンノキ属(Alnus)
分布: 日本、サハリン、カムチャッカ、ウスリー、朝鮮半島、中国
国内分布: 北海道、本州、四国、九州
用途: 家具材
特 徴
針葉/広葉: 広葉樹
常緑/落葉: 落葉樹
樹高: 高木
葉形: 単葉(不分裂)
葉序: 互生
葉縁: 鋸歯
雌雄: 雌雄同株(単性花)

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