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ケショウヤナギ

Salix arbutifolia

 国内では北海道の十勝と北見地方、長野県の梓川流域でしか見ることができません。北海道の札内川、長野の上高地が群生地として有名です。樹高は20〜30mほどで萌芽せず1本立ちし、樹皮は灰褐色で縦に割れます。葉は長さ4〜8cmの長楕円形で全縁または鋸歯で互生です。他のヤナギに多い托葉はありません。4月〜5月、葉の展開と同時か後に開花。6月〜7月に成熟した種子が白い綿毛に包まれて風に飛ばされます。[1]

生育地の特徴

 ケショウヤナギの生育地は主に山地の河畔林で、砂礫地にあります。雪解け洪水による土砂や礫の流出といった河川の撹乱によって生じた新たな砂礫地に、ケショウヤナギは発芽してから直根を早く、そして深く伸ばします。1年で20cm以上の深さまで根を出すそうです。
 礫が多く地表が乾燥しやすい、植物にとっては生育しにくい場所でまずは根を伸ばして水分を確保し、次に照度の高い砂礫地を有効に利用して地上部を勢いよく伸ばします。3年生を過ぎると年に1〜2.5mほど幹を伸ばし、他の種を圧倒します。逆に言えば、土でなく礫で絶えず撹乱が起きている山間の河川でなければ子孫を残すことができない樹種でもあるわけです。[2][3][4]
 ケショウヤナギの群落がある北海道の札内川では札内川ダムの建設により礫河原が減り、ケショウヤナギの生息域が減少しています。このため北海道開発局では礫河原を再生する取り組みを進めています。

風媒花

 その名の由来は、白粉をかぶったように幼木の枝や幹が白蠟化することから「化粧」柳と名付けられたとのこと。冬場の赤い枝も実際に目立ちます。若い枝が赤く色づき、まるで木が燃えているかのような鮮やかさです。
 同種異名(Syn.)の"Chosenia"はケショウヤナギ属のことです。ヤナギ属と違い花粉の受精が虫媒介でなく風媒介であるため1属1種とされていましたが、分子系統解析によってヤナギ属"Salix"に統一されました。

Gallery

Salix arbutifolia

樹形
札内川
Taken on June 30, 2012

 国内では北海道の十勝と北見地方、長野県の梓川流域でしか見ることができません。樹高は20〜30mほどで萌芽せず1本立ちします。

樹形
音更川
Taken on May 13, 2018

山地河畔の稚樹
札内川
Taken on May 12, 2012

冬季の稚樹
札内川
Taken on Jan. 13, 2019

冬季の樹形
札内川
Taken on Jan. 13, 2019

開葉
札内川
Taken on May 12, 2012

 葉は長さ4〜8cmの長楕円形で全縁または鋸歯で互生です。他のヤナギに多い托葉はありません。


葉の裏

冬芽
札内川
Taken on Jan. 13, 2019

札内川
Taken on Aug. 3, 2019

雄花
札内川
Taken on May 12, 2012

 4月〜5月、葉の展開と同時か後に開花します。

雌花

開花
札内川
Taken on Apr. 28, 2019

 黄色の高木が雄株、淡緑の高木が雌株

果実
札内川
Taken on June 30, 2012

 6月〜7月に成熟した種子が白い綿毛に包まれて風に飛ばされます。

樹皮
札内川
Taken on May 12, 2012

 樹皮は灰褐色で縦に割れます。

稚樹の樹皮
札内川
Taken on Jan. 13, 2019

 夏でもお化粧をしているかのように白い。

こすると落ちる白粉
札内川
Taken on Aug. 3, 2019

生育地となる砂礫地
札内川
Taken on Apr. 28, 2019

Property

Salix arbutifolia

分 類
和名: ケショウヤナギ(化粧柳)
別名: カラフトクロヤナギ、エゾノクロヤナギ
学名: Salix arbutifolia
(Syn. Chosenia arbutifolia)
(Syn. Chosenia bracteosa)
(Syn. Chosenia macrolepis)
目: キントラノオ目(Malpighiales)
科: ヤナギ科(Salicaceae)
属: ヤナギ属(Salix)
分布: 日本、サハリン、東シベリア、沿海州、中国東北部、朝鮮半島
国内分布: 北海道、本州
用途:
特 徴
針葉/広葉: 広葉樹
常緑/落葉: 落葉樹
樹高: 高木
葉形: 単葉(不分裂)
葉序: 互生
葉縁: 全縁/鋸歯
雌雄: 雌雄異株(単性花)

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