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ヤマウルシ

Toxicodendron trichocarpum

 山地や丘陵に自生していますが、北海道では海岸近くの低地にもよく見られます。樹高は3〜8mとあまり高くなりません。褐色の毛に覆われている冬芽は冬芽を保護する鱗芽を持たない裸芽で、その近くには大きな三角形かハート形の葉痕を見ることができます。葉は奇数羽状複葉で、赤みを帯びた葉軸に小葉が4〜8対あります。楕円形から卵形の小葉はほぼ全縁ですが、幼木だと大きく目立つ鋸歯があります。5〜6月に黄緑色の小さな花を多数咲かせます。当種は雌雄異株ですが、雌株の雌花には退化した雄しべが、雄株の雄花には退化した雌しべがあります。果実を覆っている外果皮には毛が密生していて、9〜10月になるとこの果皮が剥がれて白い中果皮が姿を表します。樹皮は灰白色で縦に筋が入ります。枝は1年生でも太くなるため冬のヤマウルシの枝ぶりは武骨な印象です。[1][2]

接触性皮膚炎

 ウルシ属の学名は「Toxicodendron」ですが、その意味は毒(toxico)の樹(dendron)です。同属のウルシの場合、漆器に用いられる樹液の主成分である複数のカテコール誘導体の混合物「ウルシオール」がかぶれの原因です。ヤマウルシにもウルシオールが少し含まれるため、かぶれ(接触性皮膚炎)を起こします。ウルシ属はヌルデと同じ「Rhus」とされていましたが、分子系統学によって分離され「Toxicodendron」となりました。[3]

Gallery

Toxicodendron trichocarpum

樹形
筑波実験植物園
Taken on May 20, 2011

 山地や丘陵に自生していますが、北海道では海岸近くの低地にもよく見られます。樹高は3〜8mとあまり高くなりません。

樹形
勇払原野
Taken on Apr. 21, 2019

冬芽
苫小牧市 ウトナイ湖
Taken on Apr. 27, 2014

 褐色の毛に覆われている冬芽は冬芽を保護する鱗芽を持たない裸芽で、その近くには大きな三角形かハート形の葉痕を見ることができます。

葉の展開
苫小牧市 勇払川
Taken on Mar. 25, 2019

葉の展開
苫小牧市 勇払川
Taken on Mar. 25, 2019

北大植物園
Taken on Aug. 12, 2018

 葉は奇数羽状複葉で、赤みを帯びた葉軸に小葉が4〜8対あります。楕円形から卵形の小葉はほぼ全縁ですが、幼木だと大きく目立つ鋸歯があります。

北大植物園
Taken on June 15, 2011

若木の紅葉
旭川市 近文山
Taken on Oct. 28, 2012

雌花
勇払原野
Taken on June 29, 2014

 5〜6月に黄緑色の小さな花を多数咲かせます。当種は雌雄異株ですが、雌株の雌花には退化した雄しべが、雄株の雄花には退化した雌しべがあります。

勇払原野
Taken on June 2, 2019

果実
北大植物園
Taken on Aug. 31, 2019

 果実を覆っている外果皮には毛が密生していて、9〜10月になるとこの果皮が剥がれて白い中果皮が姿を表します。

未熟果
北大植物園
Taken on Aug. 12, 2018

樹皮
勇払原野
Taken on Oct. 19, 2014

 樹皮は灰白色で縦に筋が入ります。

Property

Toxicodendron trichocarpum

分 類
和名: ヤマウルシ(山漆)
学名: Toxicodendron trichocarpum
(Syn. Rhus trichocarpa var. humilis)
(Syn. Rhus trichocarpa)
目: ムクロジ目(Sapindales)
科: ウルシ科(Anacardiaceae)
属: ウルシ属(Toxicodendron)
分布: 日本、南千島、朝鮮半島、中国
国内分布: 北海道、本州、四国、九州
用途:
特 徴
針葉/広葉: 広葉樹
常緑/落葉: 落葉樹
樹高: 低木
葉形: 羽状複葉(奇数)
葉序: 互生
葉縁: 全縁/鋸歯
雌雄: 異株(単性花)

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