樹高は大きいもので1mほど。ただし、生えているのが地面からではなく樹上です。
ヤシャビシャク
Ribes ambiguum
本州、四国、九州の産地に自生しています。樹高は大きいもので1mほど。ただし、生えているのが地面からではなく樹上です。ブナやミズナラなどの大木にある主に大枝の分岐点や洞に付着して生長します。そこから枝を横に張り出し、または垂れ下がらせます。広葉樹だけでなく、モミやマツといった針葉樹にも着生します。樹上の高所に自生していることが多く、それに出会えるのはまれです。環境省のレッドリスト2020では準絶滅危惧種(NT)に指定されており、都道府県によっては絶滅危惧種に指定しています。樹皮は赤褐色で、表面は縦に裂けます。葉は腎臓形で、浅く3〜5裂して縁には欠刻状の鋸歯があります。葉の表と裏の両面、特に葉脈や縁、葉柄には白い軟毛が密生しています。4〜5月ごろに薄緑白色の花を短枝の先に1〜3個ほど咲かせます。花弁のように見えるのは5枚の萼片で、その内側にあるのが萼片の半分ほどの大きさの花弁です。果実は10〜11月に緑色のまま熟します。花の咲く子房から果実には腺毛が密生しており、また萼片が果実の先端に残ります。[1][2]
着生植物
ヤシャビシャクは寄生植物でなく着生植物です。着生植物とは、木の幹や石に根を張って付着しているもののそこから養分を吸収していない植物のことです。普通ならば地面に実生から生長するものの、たまたま芽を出した場所が樹上だったという事例も多くありますが、ヤシャビシャクは着生でのみ見られる真の着生植物です。土壌と違って水や栄養分の補給をどうするかという課題が着生植物にはあります。ところが幹の股のような部分には有機物層が堆積していて、分解機能を持つ微生物群はその構造が地上と異なるものの同等の能力を保持しているそう。そのため無機体窒素量も意外と豊富だそうです。着生植物の葉におけるC:N比を調査した研究によると、水については葉からの蒸散量を調整することで水の利用効率を高めていると考えられるとのこと。また、ヤシャビシャクは全体的に毛が多く、これは蒸散を防ぎつつ気中の水分(または自ら放出した水分)を確保するといった目的があるのかもしれません。
2022年、ヤシャビシャクに近縁の新種が報告されました。フガクヤシャビシャク(Ribes fujisanense)です。萼片の縁(ものによっては萼の半分近くまで)が紅色を呈する。葉柄や葉裏の脈上にも腺毛がある。長枝上に湾曲した棘がある。鋸歯の切れ込みが深い、といった違いがあります。自生地は富士山、静岡市北部の山地、秩父山地、恵那山系の標高1300〜1750mの地域です。[3][4][5][6]
Gallery
葉は腎臓形で、浅く3〜5裂して縁には欠刻状の鋸歯があります。
花弁のように見えるのは5枚の萼片で、その内側にあるのが萼片の半分ほどの大きさの花弁です。
果実は10〜11月に緑色のまま熟します。
樹皮は赤褐色で、表面は縦に裂けます。
Property
| 分 類 | |
|---|---|
| 和名 | ヤシャビシャク(夜叉柄杓) |
| 別名 | テンバイ、テンノウメ |
| 学名 | Ribes ambiguum |
| 目 | ユキノシタ目(Saxifragales) |
| 科 | スグリ科(Grossulariaceae) |
| 属 | スグリ属(Ribes) |
| 分布 | 日本、中国 |
| 国内 | 本州、四国、九州 |
| 用途 | |
| 特 徴 | |
|---|---|
| 針広 | 広葉樹 |
| 常落 | 落葉樹 |
| 樹高 | 低木 |
| 葉形 | 単葉(分裂) |
| 葉序 | 互生 |
| 葉縁 | 鋸歯 |
| 雌雄 | 雌雄同株(両性花) |